|
■色(インキ濃度とグレーバランス) |
印刷では絵を描くように多くの色は使えません。 藍(シアン)・赤(マゼンダ)・黄(イエロー)の三原色をいろいろな濃淡で組み合わせることによって、数多くある色を表しています。印刷機は薄く印刷したり厚く印刷したりする事が出来ませんので、その部分を沢山の小さな点(アミ点)の集まりにして、その点の大きさを変えることによって色の濃淡を表しています。アミ点一つ一つの濃度は常に同じです。 大きさの違いにより見た目は違う濃淡に見えます。 各アミ点の濃度は同じであると言いましたが、実際には印刷する時の室温・湿度・印刷機の種類で少しずつ変化します。 同じ%のアミ点であれば、どこで印刷しても同じ色調(濃淡)になるはずですが、色を変える直接要因としてドットゲインとインキ膜厚(濃度)があります。 この為、印刷するたびに微妙に色調が変化してきます。 ドットゲインはインキのタック値(粘度)や印圧などでアミ点として着肉したインキが潰れて太り、実際のアミ点%より高い%になる事です。 インキ膜厚はインキをより厚く盛る事で、同じインキの同じアミ点%であってもより濃くなることです。
印刷する時は予め作成した原稿(印刷見本)がありますが、原稿が異なる機械で異なる時期に作成したからと言って色調が変わっていいわけではありません。 この原稿通りに印刷するために変わらないアミ点の濃度を少しでも変える装置が各印刷機に付いています。 この仕組みは印刷する方向に対し垂直に配置されているインキ供給部分にゲートを設置し、このゲートの開き具合でインキの膜厚をある程度調節できるようになっています。
濃度計では、物理的にインキのベタ部分しか計測できません。しかし、色調の変化を最も受けやすいのは、3原色が掛け合わさった中間調の部分です。人の肌部分や淡いグレー調の商品写真などは、単色部分や濃色部分などと比較し、3色のインキの濃度バランスの影響を大変受けやすくなっています。 3原色をほぼ等量掛け合わせるとグレーになることから、これを「グレーバランス」といいます。
|
|
■印刷工程 |
|
(プリプレス)
|
|
もろもろのコンピューターのデータや写真や文字などの情報を印刷する場合、まずそれらの原稿をもとに、藍色用、赤色用、黄色用、黒色用の4つに分割された印刷フィルム(カラーの場合)を製作します。 この印刷フィルムを製作するまでの工程を製版といいます。 |
|
|
|
|
最初に行うのはこのフィルムから実際に印刷機に取り付けてインクを付ける版を作ることです。 この版または工程を刷版といいます。 刷版の表面は非常にインキが付着しやすい性質を持っています。 これに印刷フィルムを重ねて強い紫外線をあてるとフィルムの透明部分(アミ点等のない部分)の下にある面は焼き飛ばされて表面の第一層がなくなり、第二層が現れますが、この面は逆にインキを弾く性質があります。 印刷フィルムの黒い部分(アミ点等の部分)の下にあった面はそのままのこりますので、ちょうど印刷フィルムの絵柄通りにインキの付着しやすい面と弾く面に分かれる事になります。 これにインキをつけて同じ紙に4回転写するとカラーの印刷物が出来上がります。 |
|
(プレス)
|
|
出来上がった4枚の刷版を印刷機に取り付けます。印刷機はそれぞれ色のユニットがあり、決まった場所にそれぞれの刷版を付けます。 オフセット印刷機では刷版にインキをつけてそれを直接、紙に転写するのではなく、ブランケットというゴム版を介して紙に転写します。 |
|
(ポストプレス) |
|
印刷機はコピー機と違い全紙と言われる大きい印刷用紙に何枚か、あるいは何ページかを面付という方法で、まとめて印刷します。 これを印刷物にするために断栽したり、折ったり、業務用のホチキスで綴じたりするのが製本工程です。 |
|
|
◎オフセット印刷機の仕組み |
下記の図はオフセット印刷機の1色文のユニットの断面図です。 用紙が各色4ユニットを順に通ることによりカラー印刷が出来上がります。 |
|
|
■印刷用紙と面付 |
A4全面の絵柄をA4用紙に複写すると周りに余白が出来てしまいます。全面を複写したい場合は印刷サイズより少し大きめの用紙が必要となります。A版の場合はそれより一回り大きいサイズの用紙が必要となります。 このサイズを菊(キク)版と言い、B版の場合は四六(シロク)版といいます。 A1サイズはA4サイズの8倍の大きさですが、A全版といいます。A2はA半裁といいます。 同様に菊全、菊半といいます。 |
■中綴じ製本と面付 |
印刷物では映画のパンフレットのようにまん中をホチキスで止めた形のものがあります。 これは普通のオフセット製本とは違い、作り方も異なります。 この製本方法を中綴じ製本と言います。 これを印刷する時は、8頁分(裏表4頁)づつまとめて面付して印刷し、製本工程で、まず4ツ折にし、真ん中をホチキスで止めてから、最後に化粧断する方法で作られます。 この手法は中綴じ専用の面付けで、印刷面付上では、製本後のパンフレットのように2頁のとなりが3頁にはなりません。 |